結合剤の役割
結合剤とは砥粒同士を結合させ、保持するための材料です。砥粒同士はくっつかないので、レジノイド砥石では主にフェノール樹脂(レジン)が使用されています。
樹脂の種類
樹脂とは、プラスチックのことで、「熱硬化性樹脂」と「熱可塑(かそ)性樹脂」の2種類があります。
フェノール樹脂(レジン)は、熱硬化性樹脂に分類されます。
種類 | 解説 | 樹脂 |
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熱可塑(かそ)性 樹脂 |
熱によって軟化し、型の中に流し込むことができるため、成形加工が容易。ただし、耐熱性、耐薬品性、硬さなどは、熱硬化性樹脂より劣る。 | ポリエチレン、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレンポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート |
熱硬化性 樹脂 |
加熱すると次第に硬くなり、固まってしまう。耐熱性、耐薬品性に優れている。 | フェノール樹脂(レジン)、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン |
フェノール樹脂(レジン)の特長
- 硬化した樹脂の耐熱性が、他の樹脂よりも優れている。
- 機械的特性(強度)に優れる。
- 硬化時の収縮率が小さい。
- 各種溶剤や他の化学薬品に対して安定している。
フェノール樹脂の種類 | |
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形状 | 液状、粉末状 |
化学的特性 | レゾール型、ノボラック型 |
このように結合剤は砥石の原材料を結びつける役割を果たしています。
番外編~フェノールレジンの歴史~
1872年アドルフ・バイエルによる染料の研究上で塩酸触媒下でフェノールとホルマリンの反応物が樹脂状になることが見出された。
その約20年後、薬品としてホルマリンが市販されるようになり、追試研究がなされ、学術上フェノール樹脂の存在が認知されたが、実用化に至らなかった。
1890年代になってフェノールとホルマリンが工業原料として入手できるようになり、盛んに研究が行なわれるようになった。
1907年にレオ・ベークラント博士によって初めて工業化され、この時に登録されたフェノール樹脂の商品名が「ベークライト」である。
1909年ベークラント博士と親交のあった高峰譲吉により、初めて日本に紹介され、その2年後ベークラント博士の日本国特許権を無償で譲り受ける形で三共が工業化を進めた。