最高使用周速度について
「周速度」とは、砥石外周上の1点が1秒間に進む速さのことで、「最高使用周速度」とは、研削砥石が安全に使用できる最高限度の周速度を言います。「最高使用周速度」は安全上絶対に守らないとならないもので、いかなる場合でもこれを超えた速度で使用してはならないとされています。(安全衛生規則 第119条)
砥石の最高使用周速度は、それぞれの製品に記載されています。
*砥石メーカーは75㎜以上の砥石には必ず最高使用周速度の表示をしなければなりません。(研削盤等構造規格)
周速度と回転数(回転速度)
周速度…外周上の1点が進む速さ(単位:m/s、m/min)
回転数…外周上の1点が1分間に回転する回数(単位:min-1)
砥石の外周に点が有ると考え、この点が1秒間に72m(1分間に4,300m)進むスピードで、回っている場合、その砥石の周速度は72m/s(4,300m/min)になります。
1秒間に72mの速度で回る砥石が、1分間に回転する回数を求めるには、下の式で求められます。
研削砥石の周速度
研削砥石の周速度を時速換算した表で見てみると、周速度が常識的な速度で判断できます。
研削砥石の重大事故はこのような高速で作業をしていることを失念してしまうことによって発生する場合が多いので、常に安全作業を心がけなければなりません。
研削砥石 | 最高使用周速度 (m/s) |
時速換算 (km/h) |
---|---|---|
レジノイド平形砥石 | 50 | 180 |
切断砥石(355φ未満) | 72 | 259 |
レジノイドオフセット砥石 | 72 | 259 |
レジノイド高速オフセット砥石 | 80 | 288 |
破壊回転周速度
砥石使用時の安全に影響する諸要因のうち、最大のものは回転による遠心力によって誘発される内部応力です。
周速度が次第に上昇して、内部応力が研削砥石の強度を超えれば砥石は破壊します。
この時の砥石の周速度を「破壊回転周速度」と呼び、砥石の安全度を確保する基礎となります。
研削砥石の最高使用周速度は、この破壊回転周速度を一定の安全係数で除することで求められ、手動で用いるオフセット砥石、切断砥石の場合は「2.0」になります。
ニューレジストンでは、自社製品(オフセット砥石・切断砥石)に対して抜き取りによる破壊回転試験を行い、実際の破壊周速度が最高使用周速度の2倍以上になることを確認した上で出荷し、砥石の安全性を確保しています。
しかし、砥石使用者はあくまでも最高使用周速度を超えて使用してはいけません。